とびきりな才能と、とくべつな作品と

そういうものを時たま見ます。星どうしがぶつかったようなひかりに、見えます。
武田俊 2024.05.20
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『化け猫あんずちゃん』というのはぼくにとって、特別な作品で、いましろたかし作品の中でも特に好きで、学生時代から愛読していました。

お坊さんにひろわれた捨て猫・あんずが、なぜか30年以上も生きていたら化け猫になっていて、ひとの言葉を使い、人間よりも人間らしく、おじさんのようで、それが生活のひきこもごもを伝えてくれる存在としてあって、わらえて、ほっこりして、なぜか泣けてくるようなそんなマンガだったのです。

ここでちょっと読めるみたい。

そんな『化け猫あんずちゃん』がアニメ映画として、この夏上映されます。


特報が出たときに情報は見ていて、とても驚きました。アニメーションを手がけるのが、久野遥子さんだというのです。いや、驚いてませんね。彼女のすごさを、ずいぶん前にぼくは知ることが出来ていて、その時の感覚がぶわっとぜんしんの肌を通り抜けて、それが自分にとってとくべつな作品の肌にも触れて、そのおののきのようなしびれを、驚き、のように感じたんだと思います。

学生CGコンテストという、メディア芸術祭の学生番、のようなものがありまして、その評価員というものを2010年代に、数年担当していたことがありました。さまざまなジャンルの学生の作品を審査員が、受賞作として選ぶわけですが、ぼくら評価員の役割というのは、その下読みのようなものでした。

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