武田俊の読むラジオ|#50 忘れたり思い出したり
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谷川俊太郎さんが亡くなって、たくさんの人たちが思い出の詩を投稿していた。それは久々に見る心地よいインターネットの風景だった。
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2008年。大学生のときにつくっていた雑誌のトークイベントで司会をしていた。批評家ふたりが「詩人がいちばんえらい」といっていた。
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なぜえらいかといえば、基本的に詩だけでは食べていけないから。生活の糧に直接ならない詩作という行為の純粋性を評価しているみたいだった。
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学生だったので「そういうものか」と納得しようとしたが、これはいま改めて考える価値のある問いのような気がする。
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上のはなしで例外としてあげられていた日本唯一の職業詩人が谷川俊太郎だった。
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ぼくは谷川さんにいちどだけお会いしたことがある。
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詩人の佐藤雄一さんが主宰していた代々木公園サイファーで、ラッパー、詩人、俳人などが車座になって自作を朗読し合う場だった。ぼくは数回そこに「歌人」として参加した。
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それで、ある回に谷川さんがやってきたのだった。
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その日は谷川さん以外に、ラッパーのなのるなもない(降神)、朝吹真理子さんなどがいらした。そして記憶がたしかなら、そのあとすぐに亡くなってしまう不可思議woderboyもいたはずだ。
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二次会として移動した先は当時は恵比寿にあった渋家で、朝吹さんがそこを飲食店だと勘違いし「二次会は渋家というすてきなお店だそうです〜」と参加者に呼びかけていた。
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いや、もっとたくさん色んなひとがいたはず。それで検索したら大学の後輩で現代美術家・ラッパーのハルヤくんのツイートがみつかった。そうか千葉雅也さんもいらしたのか。