『ミルクの中のイワナ』試写会と『君たちはどう生きるか』のあれこれ

編集者・武田俊のニュースレター。ちいさなエッセイと、最近見聞きしたことのあれこれ、おすすめコンテンツ、活動の報告などなど。
武田俊 2023.07.20
読者限定

久々のレターです。ずいぶん暑くなりましたねえ、みなさんいかがお過ごしですか?
ぼくはいくつかの仕事が転機を迎えていたり、昨年から撮っていたドキュメンタリー映画『A TROUT IN THE MILK / ミルクの中のイワナ』がお披露目の時期にさしかかったりで、バタバタと過ごしていました。

それらに向き合いながら、「ああ、もっと文章が書きたい」「エッセイが書きたい」「なにより、『青の輪郭』の執筆を再開したい……」という気持ちがふつふつと高まってます。

このレターも、コンセプトを考えたり、企画を考えたりと編集者らしくはじめたのですが、その縛りに自分がからめとられちゃって、こんなふうに止まっちゃっていました。

最近、信頼する仕事仲間であり友人であるラジオディレクターから、こんなことを言われました。

「武田さんの、唯一良くないところは、事前に準備して完璧にやろうとしすぎるところですよ!」

これってこれまで色んな人に言われてきたことで、ほんとそうだなあ、と思って、全方位的にもっと軽くやってみようと思っているところ。

このレターも、ちょっとチューニングしながら出していこうと思います。
具体的には
・軽いエッセイ
・最近見聞きしておもしろかったもの
・最近の武田の活動

の3つの要素で、さくっと書いていこうと思いますよ。

***

🎣今日のエッセイ:なかなか入れないあのお店

そのお店の存在は、1年半前に引っ越した時から知っていた。

いや、なんなら入念に下調べをして、内見前に何度も町を歩いていたから、引っ越す前から存在だけは知っていた。

小さなお店だ。年期の入ったビルの1階。隣は解体業者の事務所が入っていて、そのほかにテナントはない。そんな目立たない場所に、小さな看板が立っている。なんの形だかわからない、ターコイズブルーの図形が描かれていて、近寄ると、それはカワセミを模したイラストのようだった。肝心の目が描かれていないから、よく見るまでわからなかった。中をのぞくとひとり、こじんまりとしたおじさんが何やら真剣に作業をしている。

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  • 🐟『A TROUT IN THE MILK / ミルクの中のイワナ』試写会をやってきました
  • 📻今日のメディアニュース:『君たちはどう生きるか』のすさまじいレビューを発見

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